南の国の男、北へ '94晩夏 
〜 アフリカツインで駆け回った北海道ツーリング日記 〜

・Day_9

 '94/09/02

 テントから出てくると前日の風はすっかりおさまっており、屈斜路湖にはカヤックが浮かんでいた。昔っから放浪癖のあった自分。カヤックなんて始めたら、陸路だけに飽きたらず、水路(海路)まで道が広がって、とんでもないコトになるだろうなぁ...なんて考えた(笑)。

 キャンプ場を抜け、湖畔沿いの民族資料館の裏手にある露天風呂へ。まだ早いためか、誰もいない露天風呂。いちお混浴らしいが、こんな時間に期待するモノはなく(大爆笑)、風呂からの屈斜路湖の風景を独り占め。波ひとつない湖面には対岸の緑が映り、その上には雲ひとつない青空があった。

 ...いけね、ねっこ生えちまう(笑)。

 生えかけたねっこを引きちぎり(爆笑)、屈斜路湖から摩周湖へ抜ける林道へ。木々の間を抜けるフラットで緩やかなダートをアフリカツインで駆け抜ける。見通しのよい場所では、アクセルを開ければ日頃の巡航速度をオーバーするところまで加速し、鹿が出てきたきたらどんげすっか...、というビビリ心でアクセルを戻すこととなる(苦笑)。林道の出口ではテネレのにーちゃんが休んでいた。しばし、デカいもの同志の笑い話がはずんだ。

 摩周湖の展望台、霧で有名な摩周湖ではあるが、今日はピーカンで湖面の小島もばっちり。隣で観光客のおねーちゃんが「うわーっ、すっごーいきれーっ!」とはしゃいでいる。オイ、おねーちゃん。小島見えると、婚期遅れるっちゅーウワサ聞いたことないんかい?...と心の中で隣のおねーちゃんにツッコミをいれていた(笑)。

 ん?待てよ?...するってぇとナニかい?(爆笑)

 R241 から阿寒湖を抜け、オンネトーへ。雌阿寒岳を映したオンネトーの緑とも青ともいいがたいなんとも不思議な湖面の色。しばし、この色に見とれ、我を忘れていた。

 オンネトーを離れ、その奥のオンネトー湯ノ滝へ。駐車場でバイクを止め、歩きにくいモトクロスブーツでづかづか歩いていると、左手の茂みでがさごそ、なにやらいる気配。気配の方向を見れば、エゾシカ。一瞬、目があったあと、エゾシカは茂みの奥の方へ消えていった。

 湯ノ滝に着いてみれば、先ほどのオンネトーと同じ色をした滝壷。上の方に、温泉があるらしい。温泉へ登れば、先客が数名。さっそく、自分も。ぬるメのお湯に、先客と長話。いかん、またねっこが生えてきた(笑)。ねっこをぶったぎって風呂から上がり、先客だった GPZ400R のにーちゃんとヨタ話。じゃあ、ってわかれる時後ろの方で叫び声が聞こえた。ミラーを見れば荷物満載の GPZ が傾いている(笑)。あわててかけつけ、傾いた GPZ をたてなおした。

 オンネトーを出るとき、キタキツネが見送ってくれた。

 #ちなみにこのオンネトー湯ノ滝(上の湯)は、マンガン形成のどーたら(苦笑)
 #の天然記念物で、ホントは入ってはいけないらしい&今は入れなくなってます。
 #この時のワタシは知りませんでした(謝)

 R241 に平行して走るオンネトーからの林道を足寄に向かって駆ける。足寄の手前で、R274 に続く林道へ。序盤はフラットで走りやすかったものの、中盤ぐらいからガレてきて、自分の腕ではアフリカツインが思うように走ってくれない(涙)。

 途中、つづらおれのガレガレという場所に遭遇し、「勘弁してくれぇ〜」と叫びながら、なんとか無事に通過できた。つづらおれのところを抜けたとき、たまたま横にいたエゾシカが驚いて、近くの薮の中に飛び込んでいった。

 R274 に出て、これから道東林道に向かうかと時計を見る。げげ、もう3時を過ぎているではないか。大事をとって、涙ながらにキャンセルした。

 久々に留守電を聞いてみれば、前の会社の人が今、開陽台に来ているらしい。すっとばせば、会いに行けないこともない。だが、北海道を離れるのは明日に迫っている。大丈夫かもしれない。ただ、あまり無理をするのももったいない。結局、開陽台もあきらめることにした。

 この時、ふと思い出して家の鍵を探してみた。...あれ? ない?(爆笑) 荷物の中も、ウェアのポケットの中もなく、あせる。そういえば、北海道では一度も鍵を見ていないような気がする...(苦笑)。思い出せ、最後にどこで出したかを...。

 最後に出したのは東京のフェリーターミナルだった。もしや...。あわてて、東京のフェリー事務所に電話をいれる。すると...、あった。どうやら窓口のカウンターにポケットから別のものを出したときに一緒に置いて、そのままにしてしまったらしかった(大爆笑)。

 ほっと胸をなでおろし、池田町、帯広を抜け、日勝峠を越える。この頃にはもうあたりを夕闇が覆いはじめ、峠を登るにつれ気温は下がってきた。夕刻の峠は交通量も多く、大型車が前にいると、抜くこともできず、顔は黒くなっていくばかり(笑)。まぁ、仕方ないわな、とたらたら登っていると、対向車線を荷物満載の原チャリが3台下っていった...。

 今宵の宿は日高町。北海道最後の夜はどうしようかと思ったが、結局、ライダーハウスに落ち着いてしまった。

 ハウスで連泊している人曰く、「アフリカツインでヒダカ(HTDE)に出るの?」 まさか、なんて恐れ多い(笑)。その人はヒダカが行われるくらいまでここにいるといっていた。北海道の OPEN Enduro にも出てみたいが、さすがにアフリカツインではねぇ...(苦笑)。

 ※ HTDE(日高・ツーデイズ・エンデューロ)...日高町の近辺に広がる林道(公道)
  を利用して行われる、エンデューロレースです。

 

                         (本日の走行距離、380km )

 

つづく

 


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