南の国の男、北へ '94晩夏 
〜 アフリカツインで駆け回った北海道ツーリング日記 〜

・Day_8

 '94/09/01

 昨日の豪雨は止んだものの、まだどんよりと曇り空。ハウスで話がはずんだ、NS-1 のにーちゃんと Dio のにーちゃんが先に出発。Dio のにーちゃんは昨日の豪雨で濡れた靴が乾かず、サンダル履きで出て行った(笑)。これから納沙布岬に行くとのことなので、自分も追いつくであろう。

 納沙布岬。この曇り空では北方領土は見えるわけがなく、自分のマの悪さを呪った(爆笑)。岬では先の原付にーちゃんたちと合流。岬の碑の前で、お約束の記念撮影。不謹慎ながら、海に向かってシュプレヒ・コールを上げている姿でフィルムに収まってしまうのは、悲しいお祭りオトコの性か(大爆笑)。

 納沙布でも先に出て行った原付にーちゃんたちの後を追うように、自分も出発。途中、見事に追いつき、抜きざまに二人の姿を撮って行った。原付での旅もおもしろそう...二人を見ていて思った。

 太平洋側の道道を釧路へ向かう。地図に“夕日の眺めが抜群”という文字にひかれ、昼にもなっていないのに落石岬へ。サカイツツジの自生地というそこには、どれがサカイツツジだかわからなかったが(苦笑)、紫色の小さな花があたりに咲いていた。

 テレビでお馴染み、ムツゴロウさんとこの動物王国の玄関だけ「とりあえず見た」と素通りし(爆笑)、霧多布岬を抜け、道道1020から R44 を釧路へ。釧路では、ウワサの和商市場を探してウニ丼だ!、イクラ丼だ!と力んでいたものの、なぜか見つからず(涙)後ろ髪をひかれたまま、釧路湿原に向かった。

#未だに、なぜ見つけることができなかったのか不思議である(笑)

 釧路湿原に近づく頃には、天候も回復し、やわらかな陽射しが戻ってきた。だが、湿原展望台では観光客のおいちゃん&おばちゃんの数に圧倒され、ゆっくりと湿原を眺めることができなかった。そこで、東神楽のキャンプ場であったにーちゃん達に教わった岬へ...。

 細いヤブの中の道をかき分け、笹の繁る道の途中にあったこんもりとした黒い物体に熊のモノではないかとビビリながら(爆笑)、前へ前へと進むと突然、道が終わり、視界が広がった。

 眼下には視界に入りきらないほどの原野が広がり、その原野を縫うように川が蛇行する。天上には多めながら雲がゆったり流れ、原野に目を向ければ、その雲が落とした影が原野をすべる。

「来てよかった...」

 東神楽で教えてくれたにーちゃん達に感謝した。ここには他に誰もいない、自分だけの景色。この感動をわかちあってくれる人はここにいないけれど(苦笑)、でも陳腐なコトバで、今、この瞬間、この景色を汚したくはない。独りでよかった...。正直、そう思った。岬からの帰り、公道に戻るところでエゾシカが見送ってくれた。

 せっかく天気が持ち直したというのに、今日もライダーハウスではテントにカビがはえちまう。雨が降るとテントを張らないという、キャッシュなキャンプ野郎な自分を笑いながら、強風の吹く屈斜路湖の和琴半島でテントを張った。

 風の強い湖岸で少々苦労しながらテントを張り、メシのあとはちょいと歩いた露天風呂へ。ちょいとぬるメのヌメりのある温泉は、満点の星空の下では極楽全開(笑)。あとは酒さえありゃ、完璧だなぁ...(爆笑)。

                       ( 本日の走行距離、320km )

 

つづく

 


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