南の国の男、北へ '94晩夏 | ||||||||||
〜 アフリカツインで駆け回った北海道ツーリング日記 〜
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・Day_7
'94/08/31 早朝、テントから出てみれば薄日がさしている。なんとかもたないかなぁ? 甘い期待を胸にテントを撤収し、カムイワッカの滝へ DJEBEL のにーちゃんと向かう。カムイワッカへの道。早朝ということもあってか、交通量も少なく、気持ちよくダートを駆け抜ける。先行は DJEBEL のにーちゃん。コーナーの二つ先くらいをつかず離れず走っている。右カーブのブラインド。土煙があがり、にーちゃんが見えなくなった。 「もしや...」 現場に急いでみれば、DJEBEL はイン側の斜面に横倒し(笑)。にーちゃんはバイクを起こそうとしていた。 「あ、ちょっと待って。そのまま、そのまま。パシャ」 胸にぶら下げていたカメラ。迷わず取り出し、証拠撮影(爆笑)。う〜ん、アクマな自分(大爆笑)。にーちゃんも慣れたものか、あきらめたのか、ポーズをとってフィルムにおさまった(笑)。 カムイワッカ到着。ブーツを脱ぎ捨て、持ってきたサンダルに履き替え、滝を登る。滝の水が暖かい。ウワサに聞いた温泉の滝。早く、湯の滝につかりたい。はやる心を押さえながら、滝を登った。 着いてみればパッと見は滝壷。あたりには湯気が立ちこめていた。服を脱ぎ、滝壷へ。おぉ、えぇ湯加減やないの。うぅ〜、極楽極楽(笑)。顔でも洗おうかいの。おぅ〜、目に染みるぅ〜(爆笑)。聞いてみればカムイワッカの湯は酸性が強く、とてもじゃないが、生物はこの環境では生きられないらしい。そんな中を自分は泳いでしまったのであった(大爆笑)。 滝を降りれば、観光客が来始めた頃で、名物?のわらじのレンタル屋が店を出していた。これから知床五湖に行くんだけどどう? という DJEBEL のにーちゃんの提案に、雨が降り出す前に知床峠を越えたかった自分ではあったが、まぁ、道のついでだし、ということで知床五湖へ。 カムイワッカから知床五湖への道。気持ちよく走っていたら、カーブで突然顔を出した観光バスにビビりながらも知床五湖へ到着。互いに、「男同士で来るトコやないなぁ」といいながら、一湖と二湖を見学。DJEBEL のにーちゃんはこれからキャンプ場に戻るということで、ここでお別れ。一人、曇天の知床峠を越えるのであった。 知床峠を越える。高度を上げるにつれ、雲が厚くなってきたような気がする。まだ、雨は落ちてきてはいない。こうなれば、降り出す前に峠を越えたい。少し、気持ちが焦る。 「そいや、あのコは昨日、どこまで行ったんだろ...」 たまに、そんな考えが頭をよぎるが、ほとんどは目の前のまだ濡れていない峠道を、いかに楽しく走るかだけに、自分ののーみそは費やされた(苦笑)。 峠を越えて、下りの道、左手にキャンプ場が出てきた。羅臼野営場。色とりどりのテント、そしてバイク。道沿いを泊まっているライダー達であろう者達が歩いている。 「今日は雨降るぞー。カゼ引くなよぉー。」 通りすがり、手を降ってきた連中にそんな想いを込めて、ピースサインを返す。 羅臼の街を抜け、海沿いの道。ポツッ...。とうとうきやがった。幸か不幸か、着ているのは多少の雨はしのげるオフロードウェア。こうなると、いつカッパを着るかが問題となってくる。路面が光り始めたら...、そう考えていたら、いきなり大粒の雨が降り始めた。 こりゃ、しょうがない。道沿いの木陰で渋々、カッパを着込む。雨足はさらに強くなってきた。こうなれば、目星をつけていたところはパス。仕方ないが、一気に根室まで向かおう。 海沿いを走る左手に、国後島は見えない。よっぽど、離島とは縁がないらしい(“離島”だけか?(大爆笑))。 大粒の雨の中を走る。このまま根室までいってしまおうか...そう考えたが、せめて野付崎だけでもと思い直し、野付半島へ。雨はますます強くなってくる。野付崎までの道はフラットで遮るものは何もなく、ただ、一本の道が伸びるだけであった。 「晴れてりゃ、国後島が見えるかもしれないのに...」 そう思いながら、野付半島途中の観光小屋?に到着。ここから先へはバイクではすすめない。その中にはこんな雨の中、何人かのライダーたちがストーブにあたっていた。夏のハズなのにストーブ。道東の気候の一面を思い知らされた。 「やっぱり、着よ」 道東は寒い、と聞いていて持ってきた薄手のフリース。ジャケットの中に着込んだ。雨は強く降り続いており、何も見えない。雨がしみこんだヘルメットを被りなおし、出発した。 雨はもはや、豪雨ともいえるほどになっており、ゴーグルも曇り始めた。かといってゴーグルを外して走るわけにもいかず(顔が痛い(笑))、片手で隙間をつくって、曇りをとりながら走った。 根室の街を抜け、納沙布岬に行こうか行くまいか考えていたところ、右手にライダーハウスの看板。迷わず飛び込んだ。 かに問屋?のそこは、そこで売っている花咲かにを \1,000- で食えば、宿泊料は無料とのこと。迷わず、かにを食うことに決め、今夜の宿を決定。時間はまだ午後3時前。早いような気もしたが、この豪雨では先へ進む気も起きない。 ハウスには先客が一人。聞けば原チャリ(NS-1)で日本1周中だとのこと。旅先での話に花が咲く。ストーブにあたりながらNS-1君と話していると、たくさんのライダー達が避難してきた(笑)。 夕刻、宿泊条件のかにが目の前に並べられ、いざ食わんとしたときにあの事件が起こった。 ハウスの外では豪雨が降り続き、テレビによると“大雨洪水警報”とのことだった。「なんだぁ、雨降れば警報だなぁ」と笑いながら、目の前に並べられたカニに手を伸ばしたとき...グラッ。ハウスが揺れた。 その直後から、激しい揺れ。地震であった。かなり大きな揺れが何分か続いた。あ、ストーブ、ストーブ。ストーブの火を消し、揺れが収まるのを待つ。経験上から震度4くらいであろうか。テレビでは太平洋沿岸に津波警報、及び津波注意報が出ていた。 このツーリングは天変地異に富んでるなぁ...(笑)。と笑っていられるのも、自分が無事だからなのだろう。食事のあと、風呂に入りに行くついでに、とりあえず田舎に電話した。テレホンカードのカウンターがあっという間に落ちていった(爆笑)。 ( 本日の走行距離、230km )
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