一足お先の夏景色 '00初夏
〜 20年目のSRで駆けた北海道ツーリング日記 〜

・2000年7月11日 悲しいかな最終日 今日もピーカン

 いよいよ最後の日。今日ばっかりは出発する気があんまりしない(笑)。苫小牧からのフェリーの出発時間が遅いこともあって、ゆっくりと準備する。同宿の2名を見送ってから自分も出発。

 今日のルートは襟裳岬をまわって寄り道をしながら苫小牧へ向かうだけ。そう考えると、昨日までよりアクセルが幾分緩んでしまう(苦笑)。

 交通量の少ない国道336をトラックの後ろについて走る。平坦な道を走っている限り、結構いいペースで流れるので無理に抜こうとしなくてもいいので楽だ。

いよいよ最終日の出発前
ワタクシの右はセキレイ館のオカミさん
左は“いつのまにかヘルパー”さん(笑)

 広尾の市街まで入るとそこそこ混んでいて、「おいおい」と思うようなクルマもいるのでついすり抜け開始。実はこのツーリング、ここまで全くすり抜けをしなかった(笑)。なんか久々だな〜、と思いながら(しないほうがいいんだけど)市街を突破。

 広尾を抜けると海が見えてくる。ほどなく進行方向右手に岩盤の中から吹き出る滝が見えてきた。これが“フンベの滝”。バイクを止め、流れ落ちる水をすくってみる。ちめたい(爆笑)。生水は気をつけなきゃいけないんだけど、ついすくって口へもっていく。あ、うんまいわ(笑)。

#“フンベ”の意味、見たけど忘れた(爆死)

 貸切バスがやってきて、いきなり人がごったがえしたので出発しようとしたら、その中の一人のおっちゃんが「お、“多摩”じゃん。オレら、川崎」などと声をかけてきた。見ればYAMAHAのチームジャケットを着ている(笑)。「単気筒か〜。1000kmも走ったらチェーン張り直さなきゃいけないから、大変だな〜」などと言ってきたが、昔ながらのシールなしならいざ知らず、今のシールチェーンはそんなことない。実際、ツーリングに出る前に給油したっきり、ダートを走ってもほとんど伸びていない(ダートを走ったらちゃんと洗おう(爆死))。

国道336沿いにある“フンベの滝”
岩盤から吹き出る珍しい滝

「いや〜、今のチェーンはだいじょうぶっすよ」と言ってフンベの滝を出発。このへんから黄金道路。集落もまばらになり、海岸線ぎりぎりの道を走る。海が荒れればすぐにでも水浸しになりそうな道は実際、先日の台風接近時にも通行止めになったとか。崖崩れ修復の為の工事の為、片側通行の場所も多く、信号待ちをすることもしばしば。

 片側通行に行く手を遮られながら、黄金道路を南進。えりも町に入って目黒の集落で山に入る。セキレイ館を出るときに薦められた“豊似湖”へ。

 日当たりのよい明るい林道から、綺麗な水の流れる川を渡る橋を越えるとうっそうと繁る森の中へ入って行く。しばらくすると行き止まり。ここから森の中を歩いていった少し先には、静かな豊似湖の湖面が広がっていた。

 ひっそりと静まり返る青い湖面と緑の山のコントラスト。湖岸に横たわっていた流木に腰掛けて、しばし静かに流れる時間を過ごした。

えりも町から広尾町の間にある豊似湖
うっそうとした森の中にたたずむこの湖は
上空から見るとハートの形をしているとか

 ちなみにこの豊似湖“好きな人と行くと愛が芽生える”というウワサがあるらしい。まぁ、自分の場合、ものの見事に一人で行ったので(苦笑)、かなうもなにもそれ以前の問題であったのだが(抱腹絶倒)。

 再び国道336に戻って、相変わらずの片側通行攻撃(笑)に遭いながらも襟裳岬へ。ここを走る頃になると、今日苫小牧に到着したライダーだろうか、すれ違うバイクがちらほら。

 ピースサインを送りながらも「いいなぁ、今日からかぁ。オレは今日までだもんなぁ」と複雑な気持ち。

 トセップの展望台を過ぎ、庶野からホントは襟裳岬に向かうハズだったのだが、強風に気を取られ、飛ばされないようナナメになって走っていたらいつの間にやら歌別(爆笑)。ここから襟裳岬へ折り返す(苦笑)。

珍しく見通しの利いた襟裳岬
眺望には恵まれない自分としては珍しい(爆笑)
しかし風の岬だけあって強風が吹く

 襟裳岬は風の岬。強風の洗礼を受けながら走った道のまわりには、背の高い木は生えず、背の低い草ばかりが一面を埋め尽くしている。ようやく着いた岬は森進一と島倉千代子がエンドレスで流れる岬だった(大爆笑)。まぁ、6年前に訪れた宗谷岬よりはマシだったが(今は宗谷岬も静かになったらしいが)、このテはもうそろそろやめにしないか?(苦笑)

 強風に吹き飛ばされかけた襟裳岬を出発し、いよいよ西へ進路を取る。様似を抜け浦河を過ぎる頃には海沿いを走るのにすっかり飽きていた(笑)。

“う〜、どっか山走っていける変化に富んだおもろい道はないのぉ〜”と地図を見てもよさげな道はなさそう(苦笑)。

 我慢して走り続け、“道の駅みついし”になんとか飛び込んだ。ら、駐車場になんと荷物満載のホンダ・エルシノアが止まっていた(感激)。思わずその横に並べて、見入っていたら、エルシノアのにーちゃんが売店から戻ってきた。

“道の駅みついし”で会ったホンダ・エルシノア
CRMなんかのご先祖様(笑)である
ん〜、旅するエルシノア、いいぞ、いいぞ

 エルシノアのにーちゃんも、自分のバイクの横に止まったアップハンドルのキャストホイールなのに土蒸したSR(笑)に同類と感じたのか(大爆笑)、二人の会話はみょーに盛り上がる(爆笑)。自分がCB72も乗っているというと「なんでナナニイで来なかったの?」と言われたが(笑)、「林道も走るだろうから」というと妙に納得していた(炸裂)。

 エルシノアのにーちゃんが別れ際、「じゃ、今度はナナニイとエルシノアですれ違いましょう」という言葉を残して(爆死)出発した後、自分も出発。傾き始めた太陽を追いかけるようにして走り始める。

 途中、新冠温泉につかり、露天風呂から金色に輝き始めた空を見ていると、本当にこの旅も終わるんだな〜、と切なくなってくる。

 温泉を出て、沈みゆく太陽を追いかけるように西へ走る。この太陽が沈んだときが自分のこの旅も終わりなんだと思うと、いつの間にか太陽に向かって「沈むな〜。沈まないで〜。沈んじゃいや〜ん」などと言いながら走っている自分がいた(笑)。

 しかし、昇らない朝日がないように沈まない夕陽があるわけもなく、どんどんと太陽は高度を下げていく。太陽が西の山にすっかりその姿を隠した頃には、日高自動車道と併走する苫小牧に入ってきていた。

夕陽を追いかけて走る
この日が終わらないようにと願いながら
願いは叶うはずもなかったのだが

 先程までとすっかり異なる、交通量の多くハイスピードな流れにとまどいながらも苫小牧港着。ターミナルにやってくるバイク乗りとの会話の第一声が「あぁ〜、終わっちゃいましたねぇ〜」と始まるのが、この時の心理状態を表していただろう。

 今この時と明日のことだけを考えるだけでよかった一週間はあっという間に過ぎ、船が苫小牧の港を離れた時、静かに終わりを告げた。

#7日目終了km:24,197km(本日の走行距離:295km)

#7日間 TOTAL:1,847km/道内総給油量:84.0L(平均燃費:約22.0km/l)

                                 − End −


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