徒然記 ...           どこに書くか迷った時のネタ帳(笑)

第5頁:最悪の事態とヘルメット     

 正直、自分の事故の記憶を思い出すのも、自慢げにひけらかすのも、自嘲気味にも話すのも苦手だし嫌いだ。だからSRを失った時も一度掲示板を閉めたし、その後も報告のみにとどめて詳細を書いていないし、結局、事故後の自分のSRの姿を見ることもなかった。

 ただその時のヘルメットだけは救急車と一緒に乗せられたためか、東京を離れる時まで手元に置いてあった。自分で塗ったヤツだし、SRやナナニイとあちこちを共にしたモノだけに、なんとなく“ハイ、サヨナラ”と燃えないゴミに出せないでいた。まぁ、さすがにゴミを持ち帰るわけにはいかないんで、最後は燃えないゴミに出したんだけど...。

 過去に“独語(ひとりごと)”っつー項目があってそこでも何度かヘルメットネタについては思っていることを書いたりしたんだけど、あらためて書いてみようと思う。

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 とりあえず、SRを失った時に被っていたヘルメットを見てほしい。

そのヘルメット。
バイザービスは折れて、帽体は当然、傷だらけで一部クラックも見られる。
3mm厚のGPシールドも割れた。

 状況としては年末の深夜のT字路交差点(片側一車線/対向車線は右折レーンあり)。自分は直進で対向斜線に直進の一台の車。自分の信号は青でもち対向レーンも青。普通のスピード(時速60km出てないくらい)。互いに前走、後続なし。ほぼ同時(やや対向が先か)に交差点進入。そこへ対向車が直進レーンからウィンカーも出さずに急激に右折して、自分の進路を塞ぐ。タクシーだった(たぶん後ろの客がいきなり「運転手さん! ココ右折!」とでもやったんだろう)。そんな状況だと時速20km/hでもABSが付いてても止まれやしない。ブレーキは握ったがその瞬間まではフロントフォークが沈むか沈まないかぐらいの時間しかなかったハズ。そうしてほとんどスピードが落ちることなく激突(記憶が今でも定かではない)、タクシーの左フロント部にSRは刺さって自分はその前に投げ出された。何m飛ばされたかはわからないけど、たぶん、背中 → ヘルメット後頭部の順で着地。思いっきり地面に強打。倒れたまま何かを叫んだ記憶はあるが、何を叫んだかはっきりとは憶えていない。その後、一時的に気を失う。その時憶えているのはその瞬間と二度と聞きたくない嫌な音、そして地面に落ちた時の衝撃。

 不幸中の幸いとは自分では正直、あんまり言いたくはないのだが、この時、互いに単独で後続が折らず、他車を巻き込まず、また自分が自分や相手の後続に轢かれることもなかった。また、歩道にはガードレールというかパイプ製の柵が備わっていたのだが、自分が落ちたところはバス停のために路肩が広くとられており、身体が歩道との段差やパイプ柵に直撃することもなかった。そのせいか、救急搬送先では打撲のみの診断で病院を一日で退院(その後、手の甲のヒビが発覚)。たぶんこのどちらか一つの事態でも直面していたら自分は現在、九州でキーボードを打てているかも定かではないハズで、その事態が起こったがために逝った仲間もいるのだ。

 ヘルメットの傷の部分を見てみますか。

赤で囲ったところがこの時にできた傷。
たぶん、背中の次に地面に接したところでまだそれなりの衝撃力はあったハズ。
これが“ズラ”みたいな半キャップだったら間違いなくのーみそを野川公園の前にぶちまけてますね。
渋谷の246のアンダーパスで半キャップなタンデムのオートバイやスクーターが事故った際に
そんな事態になると聞くですよ。

なぜかこのへんも。

そしてココ。
後ろが削れているのになんでチンガード部も傷が付いているですか?
そして黄色い矢印部分はなぜこの部分のシェルにクラックが入っているですか?
後頭部で最初に受けた衝撃が前に巡ってチンガード部で吸収しきれなくなってとうとう割れた...
という推測もできますが、はっきりとは説明できません。

 こういうチンガード部まで至る傷を見ると、仮に地面に顔から突っ込んでいたらジェット型のヘルメット場合はアゴが割れるか、歯がなくなるか、グロい表現になりますが顔のパーツが残ってりゃいいなって思っちゃいますね。

 アメリカのヘルメットメーカーに BELL っていう有名なメーカーがあるんだけど(今の生産は本国以外)、そこの文句に“If you have a $10 head , wear a $10 helmet !(もしキミが10ドルののーみそなら、10ドルのヘルメットをかぶればいいよ@やへー的解釈)”っていうのがあります。

 上の写真の説明の中でも少し触れましたが、最近、すっかり定着してしまった感のある半キャップ(別にバイカーキャップに限らず、珍走団御用達のアレとか伝統のクロムウェルとかダビダもそうだろうけど)で激しい事態に直面した場合、かなりの確率でのーみそを地面にぶちまけます。以前、渋谷のR246を走っていた時にアンダーパスが通行止めになっていて、後で半キャップのスクータータンデムカップルが事故って、後ろの子が投げ出されて(以下、自主規制)って話が聞こえて来るとなんで周りのオトナは言わなくなったのかな〜って思いますね。高速道路二人乗り解禁を目前に控えて、今のままだとあちこちでのーみそをぶちまけるヤツが続出と言う事態になりかねないと焦ったのか、ダマ決め込んでた雑誌屋さんがあわててヘルメット特集組んでるような気もしますが。

 少なくともワタシの世代までは“もし二人乗りをする場合、後ろに乗せるヤツには前で運転するヤツよりもいいグレードのヘルメットを被らせろ”っていうことを言われてきたし、聞いた記憶もあるんですが、最近はそーゆー昔気質なハナシをする人も少なくなったような。理由はクルマでも同じですが、そういうコトですよね。前を見て常に情報が入ってきてハンドルを握ってる運転者より、情報が入ってくるのが運転者に較べて遅くサポートが少ない同乗者の方が万が一の際は被害はより大きい...というコト。だから、運転する前の彼氏はジェットヘルで後ろの彼女はフルフェイスとか、少し前の時代だったら彼氏はノーヘルだけど後ろの彼女にはしっかりフルフェイスを被せてるとかそんな風潮がつい先頃まであったハズなんですが、今、街中を見るとそれはリッタースポーツマシンに乗るような人達も含めて、前の彼氏はフルフェイスで後ろの彼女は半キャップとか「おめー、万が一のコトがあったら彼女、死んじまうし、仮に生きてても顔のパーツがなくなってたら責任とれんのかよ」っていうのを見ると、最近、だんまりを決め込んでるワタシを含めたオッサンらはやっぱり言い続けないとあかんのかなぁなんて思ったりします。

 だから今まで黙ってた罪滅ぼし的に、正直、自分としては言いたくない面も含めてこんな風に書いてみたりしてるんですが、こんな文章じゃ読んでくれませんかね。

 ワタシの先に逝った仲間はみんなちゃんとしたヘルメットを被っていました。「なんでぇ、ちゃんと高い値段のメット被ってても死ぬ時は死ぬんじゃん」なんて思うかも知れない。でも、ワタシのその仲間は高いメットを被っていたおかげで、最期に彼の顔を見て別れを言うことができました。中にはあまりにもひどい状態のため、親にも顔を見せられないような事例があると聞きます。もちろん、無事故で帰って来て当然のコト...っていうか無事に帰って来なければならないのはなにも単車だけに限らないコト。ただ仮に万が一、自分が最大の親不孝、仲間への最大の不義理をしてしまった場合、せめてもの謝罪と償いとして顔を見せて別れを言わなければ...と思うことはありますよ。だからといってぜってー自分の一番好きな単車で逝くつもりはありませんし、これ以上、自分の好きで選んだ単車だけを逝かせるつもりもありませんけど。

 また、シェルの小さめでスタイリッシュなビンテージヘルメットも定番となってますけど、それを選ぶ理由に“カッコいいから”などはまだなんとかわかりますけど、“安いから”っていう理由はやっぱりどーなんだろうと思ったり。BELL のコピーの通り、自分を構成するパーツの中でいちばん肝心なパーツを守るパーツなんだからある程度までは出していいと思いますけどね。あと“旧いオートバイには今のメットは似合わない”って言われますし、確かにツルシの状態では似合わないのもあるかもしれませんけど、それは後からの自分の工夫次第で似合うようにしていくコトはできるハズ。

 オートバイ自体も然りで、いきなり自分とバランスのとれたオートバイが与えられるのではなく、自分とオートバイが共に似合うようになっていって、それぞれが共にあって違和感のないっていうのがいちばんオートバイにとっても自分にとってもいい関係で、ヘルメットやそれ以外のギアも含めたそういうコトを考えて模索するのもオートバイの一つの楽しみ方だと思うんですがね。

 ホントはもう少し早く書くつもりでした。“徒然記”をつくったときも半分はこのことをまずは書かなくちゃとは思っていたんですが、傷だらけのヘルメットの写真を見るとどーもキーボードを打つ手が止まってしまってわんわんわわんな状態でした。すんません&長文御容赦。


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